体育の日は雨が降らないという印象が正しいかデータから真面目に検証してみた[検証編]

平成に入ってからの6都市の体育の日の降雨量

10月の第2月曜日は体育の日。個人的に、体育の日は天気があまり雨が降らない印象を持っています。今年の天気はどうかというと…。

2018年10月7日12時時点での2018年10月8日体育の日の天気予報。

(2018年10月8日体育の日の天気予報。気象庁ホームページより引用。

http://www.jma.go.jp/jp/yoho/  2018年10月7日最終閲覧)

こちらは今年の体育の日、10月8日の天気予報です。雨マークがひとつもない、なかなか良い天気のようです。

これで、実は毎年雨が降っていないのでは…という疑いがさらに強くなりました。

そこで、「体育の日は雨が降らない」という観点での体育の日の天気について検証してみました。

体育の日について

現在の体育の日は10月の第2月曜日。これは2000年から実施された「ハッピーマンデー制度」によるもので、それ以前は10月10日だったようです。

ちなみに、2020年から名称が「スポーツの日」に変わるそうです。その上、2020年だけは東京オリンピック開会式に合わせて7月24日に移動されます。覚えておくといいかもしれませんね。

調査

データについて

データは気象庁が提供しているページからダウンロードしました。
リンクはこちらです。https://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php

サイトはこのようになっています。観測地点や取得したい情報、日付などを設定して、csvファイルとしてダウンロードします。

気象庁のホームページからデータを取得する画面

(気象庁ホームページより引用。https://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php  2018年10月7日最終閲覧)

調査条件

今回の調査では、雨が降らなかったかどうかを評価しています。

調査における対象、期間、雨の定義については下記の通りとしました。

  • 対象: 札幌、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡の6都市。
  • 期間: 平成元年から平成29年まで。
  • 雨の定義: 1mm以上の降雨量があった場合を雨が降ったと定義する。

雨については、元のデータに現象があったかどうか示す情報があったのですが、0mm扱いの、降ったか降っていないか微妙な雨を取るのは今回は違うと考えたので、このようにしました。

この定義では、0~0.9mmの場合を雨とみなしていないので、どちらかというと晴れになりやすい(雨になりづらい)条件になっているといることだけ把握しておけば問題ありません。

また、csvファイルからデータを取得・加工してグラフ化するところまではPythonを使用しました。

[2018年10月9日追記]
検証に使用したコードの記事も作成したので、細かな手法に興味がある方はこちらについてもご参照ください。

体育の日は雨が降らないという印象が正しいかデータから真面目に検証してみた[コード編]
体育の日に雨が降らないという印象が正しいかどうかを検証した際に使用したコードの詳細です。あまり大したことはしていませんし、コード自体もハイレベルだという訳ではないので、こういうことができるんだなーぐらいの参考になれば幸いです。

調査結果

体育の日は雨が降らないかどうか

3都市に対する調査結果

まずは全体の説明のために、一旦東京、名古屋、大阪のグラフを示します。
縦軸が降雨量[mm]、横軸が何年のデータかを示しています。
3都市に対する降雨量の比較
これを見る限り、体育の日は全然雨が降らない、というわけではなさそうです。頻度としては、1989年から2017年までの29年の間に、東京で9回、名古屋で7回、大阪で8回雨が降っています。

しかし、2008年からの直近10年に限ってみれば、東京で2回、名古屋と大阪では1回だけしか雨が降っていません。

つまり、比較的記憶に新しいここ10年に限ってみれば、「体育の日は天気が良い」という感覚はあながち間違っているとは言えなさそうです。

ちなみに、この10年の間に名古屋と大阪で唯一の雨の原因になっている2014年には、台風が来ていたようです。台風を普通の雨ではない例外的な天気だと捉えると、「例外を除いて体育の日は天気が良い」という感覚が強まるかもしれません。

なお、2003年も共通して雨量が多いのですが、調べたところこちらは台風が原因ではなかったようです。

参考:
気象庁 日々の天気図 2014年10月
北本 朝展@国立情報学研究所(Nii) デジタル台風:2003年シーズンの台風履歴

6都市に対する調査結果

続いて、6都市のグラフも見てみましょう。

まずは、単純に各都市での雨の様子を把握するため、縦軸を共通化せず、各都市それぞれで縦軸を自動で設定させたグラフを確認します。

単純な6都市の雨量の比較

ちなみに、雨が降った回数は、東京と横浜が9回、札幌と大阪が8回、名古屋と福岡が7回でした。

今度は都市間の降雨量の比較がしたいので、縦軸を揃えてみます。

縦軸を揃えた6都市の雨量のグラフ

このグラフを見ると、札幌は極端に雨が降っていることが少なそうですね。また、他の5都市で多くの雨をもたらした2014年の台風の影響がないことが伺えます。逆に、福岡ではかなりの雨が降ったことがわかりますね。

直近の10年に関して言えば、先ほどの名古屋、大阪に加えて札幌の人も、体育の日はあまり雨が降っていないという印象を持っていそうです。とは言え、台風の特別性を鑑みると、名古屋、大阪の人の方がより印象が強いかもしれません。

体育の日は他の日と比べて雨の頻度が少ないのか

続いて、体育の日は他の日と比べて雨の頻度が少ないのか検証したいと思います。
早速結果のグラフを見てみましょう。

体育の日を基準にした雨の発生頻度のグラフ

このグラフでは、体育の日から何日異なる日のデータか、という観点から雨が降った頻度を都市ごとに集計した結果を示しています。マイナスは体育の日より前の日付、プラスは後の集計を表します。

これを見ると、体育の日の3日後は雨の頻度が最も低いようです。しかし、体育の日も福岡を除けば1番手から4番手に位置しているようです。

と考えると、ここ29年間においては、札幌、東京、横浜、名古屋では、「体育の日は他の日と比べて雨が少ない」という感覚はあながち間違っていなさそうです。

一方で、大阪についてはちょっと微妙なところと言え、福岡に至っては他の日と比べて特に晴れが多い、とは言えなさそうです。

特異日は他の日と比べて雨の頻度が少ないのか

少し余談です。ウィキペディアの体育の日のページに気になる記述がありました。

10月の中で10日が特段に晴れの日が多いというデータは存在していない。昭和34年発行の『気象学ハンドブック』によれば、10月の晴れの特異日は14日とされている。

(Wikipedia 体育の日より引用。 リンクは記事末尾。2018年10月7日最終閲覧)

ここで言及されている特異日とは、

前後の日に比して特定の天気が集中する日

(Wikipedia 体育の日より引用。リンクは記事末尾。 2018年10月7日最終閲覧)

のことだそうです。つまり、10月14日は晴れた日が前後の日と比べて多いということになります。

というわけで、真偽を確かめるべく平成元年から平成29年までの間の10月14日から前後7日間の雨の頻度のグラフを各都市について作成してみました。結果がこちらです。

日付ごとの雨の有無のカウントグラフ

10月14日がとりわけ少ないかというと、特にそのようなことはなさそうです。

むしろ10月12日、10月13日あたりが若干雨が少ないように見えます。とは言え、データも各日29点ずつしかありませんので、あくまでもばらつきの範囲かもしれませんね。

なにより、今回の調査は”雨が降っていないことに対する調査”。晴れが多いかには言及できません。

晴れという天気についての検証は、また機会があればということにしたいと思います。

まとめ

今回は体育の日に雨が降る頻度が少ないかどうかについて検証してみました。

集計を取っただけでとても分析と言えるものではありませんが、一通り仮説に対する考察まで行いました。

最後に得られた結果をまとめます。

結果のまとめ

結果のまとめを以下に示します。

(1) 体育の日は雨が降らないかどうか

  • 直近10年に限れば、札幌、名古屋、大阪などでは1度しか雨が降っていない。特に、名古屋と大阪は台風が原因での雨だった。
  • そのため、最近の記憶が支配的であれば、体育の日は雨が降っていない印象を持っている可能性が高い。
  • また、福岡では1989年から1999年までの10年間1度しか雨が降っていない。そのため、その時期の記憶が強ければ、体育の日に雨が降っていない印象を持っている可能性が高い。

(2) 体育の日は他の日と比べて雨の頻度が少ないのか

  • 札幌、東京、横浜、名古屋では、体育の日は他の日と比べて雨が少ない。
  • 大阪は体育の日は他の日よりも雨が少ないとは言えなさそう。
  • 福岡は、体育の日は他の日より雨が少ないとは言えない。

(3) 特異日は他の日と比べて雨の頻度が少ないのか

  • 雨の頻度が少ないとは言えない。
  • ただし、雨の頻度が少なくないことが晴れの頻度が相対的に他の日と変わらないことを示すわけではないので、特異日である可能性は否定できない。

要約すると、

  • 直近10年で体育の日に雨が少ない地域があり、その地域の人たちは体育の日はあまり雨が降らないと言う印象を持っているかもしれない。
  • 実際に体育の日は他の日よりも雨が少ないと言える地域がある。

結論としては、

「体育の日は雨が降っていないという印象は、住んでいる地域や年齢によってはあながち間違っていない」

として締め括りたいと思います。

終わりに

今回の検証ではグラフを眺めただけで、確率的な議論等はしていないのですが、「人が経験から直感的にどう思うか」という観点からは、それなりに有意義な情報を提供できたのではないでしょうか。

データの加工やグラフ作成に用いたコードは別途公開する予定です。

今年の体育の日は予報通りの天気になってくれるでしょうか。今から少し楽しみです。

追記(2018年10月9日)

分析に使用したコードをまとめた解説を作成しました。Pythonとpandasにちょっと慣れてきたぐらいの拙いコードですが、何かの参考になれば幸いです。

体育の日は雨が降らないという印象が正しいかデータから真面目に検証してみた[コード編]
体育の日に雨が降らないという印象が正しいかどうかを検証した際に使用したコードの詳細です。あまり大したことはしていませんし、コード自体もハイレベルだという訳ではないので、こういうことができるんだなーぐらいの参考になれば幸いです。

参考資料

気象庁ホームページ http://www.jma.go.jp/jp/yoho/
気象庁ホームページ-データ取得画面 https://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php
気象庁 日々の天気図 2014年10月 https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/hibiten/2014/1410.pdf
北本 朝展@国立情報学研究所(Nii) デジタル台風:2003年シーズンの台風履歴 http://agora.ex.nii.ac.jp/digital-typhoon/year/wnp/2003.html.ja
Wikipedia-体育の日 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%93%E8%82%B2%E3%81%AE%E6%97%A5